第6回「お金持ち」の定義

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私が考える「お金持ち」の定義ではお金の「量」だけに注目しません。もちろんお金の「量」は重要です。でもそれ以上に私はお金の「速度」という観点を極めて重要視します。つまりお金が「増える速度」と、お金が「減る速度」です。そして、これら双方の比較から、私は「お金持ち」を以下のように定義します。

「お金持ち」の定義

日常の生活費その他の消費によってお金が「減る速度」よりも、資産の運用によってお金が「増える速度」のほうが大きい人

つまり、労働収入を得ることを一切やめたと仮定した時に、日常生活や消費活動(趣味や旅行など)のために資産を取り崩して使ったとしても(よほど常軌を逸した取り崩し方をしない限り)資産総額は減るどころかむしろ半永久的に勝手に増え続ける状態を、現時点すでに手に入れられている人です。これが私が考える「お金持ち」の定義です。

ちなみに株式資産は価格変動が激しくマイナスの年もあり得るので、複数年の平均年間上昇額とご自分の平均年間消費総額との比較でざっくり判断するしかありません。とは言えこの点についてあまり気にする必要はありません。なぜなら当の投資家ご本人達は、明確にご自分が(私UEDAが上で示した)お金持ちの定義を自分が満たせているかどうかなど比較的簡単にわかるはずです。細かい計算などいちいちしなくても、まぁはっきりと自覚できます。

さて、この定義によれば例えば今仮にある人が1億円の銀行預金を持っていたとしても、もし全く投資できていないのならこの人は私が定義する「お金持ち」ではありません。なぜならこの人の持つお金は、確かに額は大きいのですが、銀行預金であるがゆえにこの資産からの収入がほとんど見込めない(事実上ゼロ)だからです。

資産からの収入がゼロだということは、自分が働いて労働収入を獲得し続けない限り、日々の生活費や消費活動によって今ある銀行預金は減っていってしまいます。たとえ1億円であろうと、お金を引き出すたびに限りなくゼロに向かって減り続けます。実際毎年500万円ずつ取り崩せばたったの20年でゼロです。

このような事情ゆえに、どれだけ多額の銀行預金を持っていたとしても、投資する能力の無い人は、私が考えるお金持ちの定義からは外れてしまいます。

実際に1億円の銀行預金を持つご高齢者を考えてみましょう。実はこのような人々の多くは(意外に思われるかもしれませんが)お金持ちとは「ほど遠い生活」を送ります。なぜなら彼ら彼女らは預金が減ってしまう恐怖に耐えられないからです。結局、多額の預貯金を持ちながら倹約生活を死ぬまで続けてしまいます。そして1億円の預金にはほとんど手を付けることなく、そのままこの世から去られるケースが多い。

さて、皆様はこんな生き方をしたいと思われますか? 少なくとも私は絶対に嫌です!

お金は投資されてこそ、初めてその真価を発揮します。投資されていないお金など私から見ればただの「紙切れ」です。多額の銀行預金とは言わば「大量の紙切れを貯蔵している冷凍庫」みたいなものです。そして冷凍保存している最中も、貯蔵されている大量の「紙切れ」は、インフレによって着実に腐っていき、その価値を徐々に失っていくのです。

だったらお金など貯めずにあるだけ使うべきなのか?確かにこの「紙切れ」は有り難いことに消費することに使えるし、それはそれで人生を豊かに楽しむことには役立ちます。しかし消費すれば、当たり前ですがお金は無くなります。

ここは考えどころです。銀行預金としていくら貯めても、高齢になると「預金が減る恐怖」に耐えられずに死ぬまで使えなくなってしまう恐れがある。かと言って若い時からお金をあるだけ使ってしまっていたら、それこそもっと悲惨な老後が待っています。

だ・か・ら・こ・そ・の・「投資」なのです!米国株市場平均(たとえば私が推奨するS&P500)への長期投資あるいは長期積み立て投資なのです!

「お金は使って(消費して)こそ意味があるのだ!」と言う人がいらっしゃいますが、なるほどそれは確かに一理あると私は認めます。

しかし、少なくと「本当のお金持ち」にとってのお金は、消費するためのものである以前に(それよりも遥かに高い優先順位をもって)まずは投資するためのものなのです。お金というものは投資されてこそ、株式市場を通して人類の進歩・前進・発展(たとえば、最新型の iPhone の開発や chatGPT など AI の進歩その他もろもろの発展)に大きく貢献できるのです。そして、投資という名のこの貢献はリスクを伴った貢献( = 資本主義社会にとって、最も重要・重大かつ最も尊い貢献)であるがゆえに、そのご褒美が大きいのです。いやびっくりするほどでかい!

投資によって増えたお金はさらに投資されます。これは実際には資金を投資状態のまま置いておくことを意味します。米国企業全体の成長に伴って自分の保有資産が膨らむと、事実上投資額が増えたことになります。この結果ますます増える「速度」が速くなる。まさに複利効果です。このように歳月の経過に伴って年々加速しながら「自分の資産が指数関数的に膨張していくさま」こそが、米国株長期投資の最大かつ最高の醍醐味である!と私は思います。

そして米国株長期投資の最大のご褒美は、、、(若い皆様はまだですよ!あくまでも資産額がある臨界点を越えてからですからね!)毎年「自由に使っちゃっていい金額がかなりある!!!」ことに気づくことです!(しかもそれは年々増え続けていく!)自分の資産が減る心配から事実上永久に解放されている(それどころか永久に増え続ける)わけですから、一切なんの憂いも無く思うがままに人生の喜びのためにお金が使えるわけです!命が尽きるその日まで。

これゆえに私にとって投資の無い人生なんか到底考えられません!もし転生というものがこの世に存在していて、神様から次に生まれ変わる時に「生まれた時から1億円ある( + 働いてさらに貯金してもいい)けど投資だけは一生できない人生と、無一文で生まれるけど投資できる人生、どちらか一方を選びなさい」と言われたなら、私なら迷わず後者を選びます。

無一文上等!若く元気な肉体と頭脳があるのだから働いて働いて働いて働いて、考えて考えて考えて考えて、稼いで稼いで稼いで稼いで、倹約して資金を思いっきり貯めて、米国株に投資して1億円の目標くらいとっとと突破して、さらに上の桁を目指してやります!

さて、これからお金持ちを目指す若い皆様は、投資も消費も、結局は自分でバランスを考えて決めるしかありません。確かなことは(もし可能なら)なるべく早い段階(若い段階)で、極力消費を抑えて投資のほうになるべく沢山のお金を回すことです。そうすれば当然お金持ちに到達できるその時はうんと早く訪れるでしょう。最終的に到達できるスケールもぐんと巨大化するでしょう。そしてもちろん、一生かけて自分が人生を楽しむために消費できるお金の総額も、あなたの想像を遥かに越えて巨大なものになるでしょう。

(文: UEDA / 挿絵:αβγ)


“第6回「お金持ち」の定義” への1件のコメント

  1. […] さて、私の過去のブログ記事「お金持ちの定義」をお読みになった方ならもうお分かりだと思います。そうです。この人は大きな勘違いをしています。確かに、この人は宝くじに当たって数億円の銀行預金を手に入れました。しかしこの時点ではまだこの人は全く「本当のお金持ち」になどなれてはいません! […]

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